"腐っても鯛"な暮らし
フランスにはもう1つの現実があります。
文豪ビクトル・ユゴーはかつて、「国が人民をもつ前に、ヨーロッパはパリという都市をもった」と述べています。
作家の永井荷風は「ふらんす物語」にこのように書いています。
「現実に見たフランスは見ざる時のフランスよりも更に美しく更に優しかった。
ああ、わが仏蘭西」
古今東西の文人によるパリとフランスへの讃辞はつきません。
「革命の子」として世界の近現代史を刻み続けてきたパリは、今日も荘重でありながらはなやかで繊細で優雅な女性の如き街。
そして緑濃い地方にいけばしっとりと落ち着いた奥行きのあるフランスを見ることができます。
またフランス人が5週間のバカンスに注ぐ情熱はたいへんなものですし、レストランは毎晩盛況。
貯金の苦手な国民は、まだ本格的に将来を案じているとは思われません。
友人のレイモン君は昨年失業したのですが、保険を受けとりながら、語学校に通いアラブ語に挑戦しています。
もっとも、このように職業訓練として語学習得の選択も保険を受けとるたあに義務づけられているわけですが、本人は楽しんでいるのです。
フランスにはまだ"腐っても鯛"といえる生活が存在するのです。