フランス人は新しいものにはとびつかない
パリ9区にある友人の家は、100年以上前に建てられたアパートの6階。
彫刻をほどこした青銅製の扉に体をおしあてて力いっぱい押して入ると中庭があり、その1番手前が入口になっています。
エレベーターがないので毎日何度も180段の昇降をくり返しているそうです。
このアパート、とっくに減価償却を終えていますが、どこもしっかりしたもので、エレガントならせん階段を上りながらきっと100年後、200年後にも今と同様な姿で使われていることだろうと思ったものです。
住居しかり、家具しかり。
フランス人は新しいものにはとびつかず、文明の利器から超越した生活を淡々と送っています。
家庭用電気製品の種類も少なく、旧式なのに値段は日本の2~3倍。
冷蔵庫は霜とり、掃除機は重い一昔前の型、台所のガスはマッチでつけるという具合。
友人の家もそうでしたが、洗濯は手洗いという家庭が多いのです。
アパートの廊下やカフェのトイレの照明は、2~3分で切れる仕掛になっています。
カフェのトイレには鍵をかけると明かりがつく式のものもあり、これなら戸を閉め真暗になる一瞬をガマンすれば、無駄は全くないわけです。
日本人の下宿生が最初に注意されるのが電気の無駄づかいで、こういう点では徹底してケチです。
パリでは、6月に取り付けた約束がバカンスをはさんで9月に実現するということもありました。
3ヵ月後でも、でかけて行くと「ようこそ」と迎えてくれて、忘れてしまうといったことはまずない確かさも特徴です。
そうしたことは、家具を買うときも同じで、販売店は通常製造元に注文し、3~4ヵ月後、こちらが忘れた頃に、これまた確かに届くということがよくあります。
こうした生活様式の違いはさまざまな分野に影響を及ぼしています。